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沈黙 [くらし]

随分ご無沙汰してしまいました。
ずっとずっとこの期間中、何だか悶々とした日々を過ごしておりました。
何が起ころうとも、時間はとどまる事を知らないし
ただただそこにある事を受け入れていくしかない日々の中で
頭ではわかっていても、何事もなかったかのように過ぎていく普通の日常に
何だか馴染めない自分がいました。
だからといって、何が出来るわけじゃないのですけれど…

被災を免れた人たちが元気を出さなくてどうする

今こそ前向きに

自粛モードは避けるべきだ or 自粛するべきだ

みんなで乗り越えよう、心はひとつ

…などなど、ありとあらゆる言葉が飛び交い、その意味もわかっている。
だけど私は何故だかどの言葉にも寄り添う事が出来なかった。
当たり前の事からそうでないことまで
言葉にする、という事自体に恐怖を感じていたから
だからこれまでご無沙汰してしまった…というのもあるのですけれど、
言葉にしてしまうと何だか自分の想いが全て薄っぺらくなってしまうのではないかと感じて。

私自身は健康で元気で、毎日普通にしていられているけれど
テレビや新聞などで見た光景、あらゆる人たちの人生、
それを知ってしまった後では、どうにも気持ちのやり場がないままでいる。
…きっと色んな人の心に、人生に、入り込み過ぎてしまったのだろう。
失うものもなかった私が、何を言うかと怒られるかもしれないけれど。

色んな事を言葉にする事が出来なかった。
この気持ちを何かで表す事なんて出来ない。
だから沈黙を選んだ。
私の中で、沈黙がいちばん今の気持ちにふさわしい表現の様な気がしたから。

それでも、いつまでもそうしているわけにもいかない。
人は前を歩いていく事しかできない。気持ちがどっちを向いていようとも
歩いていける方向はひとつだけ。
未だに寄り添えそうな言葉は見つかっていないけれど
私はやっぱり私の日常を取り戻して、それをとにかく精一杯生き抜くしかないのだ。

日常を取り戻す…
それは私にとって書以外に考えられない。
何が起ころうとも、最後の最後、どうにもならなくなるまではやめない、と誓った書の道を
それだけはずっと守り続けている…震災の直後からこの期間中もずっと。
不謹慎だとか色んな想いが渦巻きながら
書だけはずっと続けている。

書をきっかけに、普通の日常を取り戻す事が出来つつある…そんな所まで来ました。
ブログもずっとお休みしようかと頭をよぎったりしましたが
このブログは書のためのブログ。
決してやめないと誓ったブログ。
だから書と共に、少しずつまた取り戻していきます。

感謝と祈りをいつも胸に

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コメント 10

悠人

言葉…自分も同じように感じてました。

報道で「未曾有」なんて皆が使っているのにも「そんなに簡単なものじゃない…」って思ってみたり…

悶々とする気持ち…わかります。ただラジオで聴いた言葉に「話す」に「放す」をかけて…人は苦痛や悲しみを話すことで幾らかでもそれを整理して「放し」ストレスを軽減出来るっていうのを聴きました。

自分も…あの震災以来、ろくに俳句もできません―言葉にすると薄っぺらくなるようで。

が、ぼちぼちでも創作はしないと…と思っています。
by 悠人 (2011-04-04 06:54) 

つるぎ

何かが吹っ切れた感じなんですね!
結局は自分に出きる事を続けていく事がある意味の復興に繋がりますからね!
たった一人でも心の支えになっているなら例えブログと言う小さな世界でも力になるし為になっているんですからね。
書を愛している東北の人も沢山居ると思います。やりたくても出来る場所が無くて中には携帯で書道関係のブログとかを覗いて勇気を貰っている人とかも中には居るかも知れませんからね~特に海月さんは書の作品もですけど詩の能力も高いですからね!辞めないと誓ったなら頑張ってくだされ・・・僕も頑張ろう(笑
by つるぎ (2011-04-04 12:28) 

kobom

いろんな方がいて、いろんな考えがありますからねぇ。
何か違和感があったり、シックリこなくてもいいのではと思いますよ。

私は昨日ラジオで聴いた松山千春の言葉に共感しました。
「金のあるやつは金を出せ
 知恵があるやつは知恵を出せ
 何もないやつは元気を出せ」(←こんな感じだったような)

カラ元気でもいいから、下を向いた顔を上げよう!
それが被災地に良い形で伝わると。

もちろん無理は全くしなくていいと思うけど、
なんかすっと耳に入ってきて、元気玉が大きくなりました。

by kobom (2011-04-04 22:53) 

宗流


こんばんは、海月さん。

沈黙…きっと、言葉は静かなものであっても、こころは色んな声を
感じておられたのかもしれませんね。
私は何となく思うんです。人は全知全能でないが故、黙する事も
何かを諦める事も、希望を持つ事もできるのだと。
そしてそこに答えなんてないし、また同時に間違いようもない、と。
人として生きるという事は、漠然としたもの。そんな風に思います。
けれど、人生というものは漠としたものであっても、「人」の中に
ある人物は唯一人だけ。人の人生を垣間見る事はできても、その中に
関与できるのは己だけ。そんな風にも思います。

無理をして、何かをしようと奮い立たせるのが自分に合う人がいれば、
静かに時を待つ人もいるでしょうし、思いを巡らせ充分に機が熟すのを
見つめる人もいるでしょう?きっと海月さんの日常も、海月さんのペース
があって然るべき!何より、ご自身に拠るべき物がおありなんですもの、
それが必ず然るべき方向へと自然と導いてくれます。少なくとも、宗流は
そう思います^^
by 宗流 (2011-04-05 00:02) 

海月シド

★悠人さん
こんばんは^^いつもありがとうございます。

言葉の持っている力を信じているからこそ
簡単に発する事の出来ない想いがありますね。
人が言葉をどう使おうと、どんな発言をしようと
それに流されるつもりはありませんが、
自分の中から発する言葉については慎重でありたいと考えます。
想いは本当に色々ありましたが、それを発するのに適当な言葉が見つからなかった…そんな感じでしょうか。

「放す」事で人は色んなものを肩から下ろせるのだと思います。
私もどちらかと言えばずっとそうして生きてきました。
そんな私でさえもそれが出来なかった…特に活字となるこのブログの上では尚更に。
上手く言えないのですが、声に出して話す言葉とは違って、
活字の中での言葉というのは、また違う意味を持つ気がするんです。
だから余計に、つらつらと色々な事を書く気持ちになれなかったのかもしれません。

俳句も、感情や気持ちの入る作業ですものね…
こういう状況や心境の中で、一つの句にするのは難しいだろうとお察しします。
風化するという意味ではなくて、時間が経てばまた
言葉を紡いでいく事が出来るのでしょう…今までよりもより深い言葉で^^
その時が来るのを待ちましょう…私も今はそんな心境です。

by 海月シド (2011-04-05 00:48) 

海月シド

★つるぎさん
いえいえ…吹っ切れたというのでは全然ないのですが^^;
けれど、こうしてブログを更新する気になったのだから、
きっと前に進んでいるという事なのでしょう。

出来る事をしていく…重々わかっている事なのですが
言葉に出来ない想いは色々とあって^^;

つるぎさんの仰るように、書をやりたくても出来ない方も
きっとたくさんいらっしゃいますよね。
私のブログが誰かの励みになっているとは到底思えませんが^^;
でも、一人でもそんな人がいてくれるかも…って思いを持てば
また違った意味がこんなブログにも生まれる事になります。
そう思って頑張ってみようかな^^
どうもありがとう^^
by 海月シド (2011-04-05 00:56) 

海月シド

★kobomさん
人の言っている事にしっくりこない…そういった事は
別段気にもしないのですけれど…だってそれは人それぞれ、当然の事ですものね。
…と言うより、何というか…自分なりの自分の言葉や表現が見つからない…という感じでしょうか。
どんな言葉を並べてみても、自分の中からそれを外に出す気持ちになれませんでした。
外に…というのはこのブログに、という意味ですけれど。

「何もないやつは元気出せ」
…あははゞ わかりやすくていいですね(笑)
こういうの、好きです^^


by 海月シド (2011-04-05 01:03) 

海月シド

★宗流さん
こんばんは^^いつもありがとうございます。

答えのないこと…本当にそう思います。
だからこそ、自分は自分の中で、そして人はその人の中で
答えだと思えるものを探していて、
自分が信じられるもの、向かっていけるもの…それが自分なりの答えになるのかな…と認識しています。

色んなタイプや考え方の人がいて、
みんなきっとそれぞれにその人が出した信じる答えに向かって
日々努力しているのだと思います。
だから例え自分が寄り添える言葉でないにしても、誰かの発した言葉を批判したり非難する気持ちにはなれません。
私には私の、出した答えが、向かう道があるのだと最近思えるようになりました。
まだ纏まらない色んな想いもありますけれど、今はそっと私のペースで歩き出してみたいと思います。
それがきっといつか然るべき方向へと導いてくれる…そう信じます^^

宗流さんの優しい言葉の数々…いつも感謝しています^^
by 海月シド (2011-04-05 01:14) 

冒険

3.11は忘れちゃならない日になりましたね。
我が家はあの日、家の中がメチャクチャになりました。

嫁のお父様の四十九日の法要中にあの地震に見舞われました。
仏具などがガタガタ倒れ、正直祟りじゃないかと違った恐怖さえ感じました。
早稲田から10時間掛けてやっと帰宅。
家の中は散々たる状態でした。
一番心配だったのが、6羽のインコ達でした。
取り敢えず全員無事でしたが、みんな怖かっただろうなぁ。。。
by 冒険 (2011-04-05 20:29) 

海月シド

★冒険さん
…そうですね、忘れちゃならない日だし、
忘れられない日になってしまいました。

法要中に地震に見舞われたとのこと…大変でしたね。
都内に出ていらした方もたくさんいたでしょうから…
10時間もかかって帰宅だったなんて〜お疲れ様でした;;
あの日の混乱は本当に信じられない光景でした。
みなさんも、インコちゃん達も無事で何よりでした=3
今もまだ何となく、身体が揺れる錯覚が残っている私です^^;

by 海月シド (2011-04-06 21:52) 

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